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2008/7/11   Design

埋め尽すデザインとハッとする色

机 美和子(以下 M):
モロッコの街を歩いていると、はっとするような鮮やかな色が目に飛び込んできます!アフリカ人の装いはカラフルですよね。決して先進国でないと思っていたのにどうしてこの国にここまでの鮮やかで華麗な色が出せるのでしょうか!街の建物全般は老朽化していたり、砂が舞っているせいかあまり綺麗に見えませんでしたが歴史的建造物のモザイクは、自分がジュエリーの透かし柄を作るのが好きなせいもあり、とても素敵です。中でも一番とりつかれてしまいそうになったのはカサブランカのグラン・モスクの中です。初めてみた時の感動は忘れられません。内部のシャンデリア・絨毯などもすべて繊細で素敵です。暫く動かずにじっとしていたかったです。



机 直人(以下 N):
北アフリカを含めたアラブ圏を歩いていると公共の場、モスク(集団礼拝所)、ミナレット(礼拝の呼びかけの尖塔)、マドラサ(神学校)などに施された装飾に目を奪われる。アラベスクといわれる幾何学的で緻密な装飾はまるで競って隙間を埋めるかのよう。威圧的にも見え、何故ここまでするのか?を知りたくなり調べてみると、、、、、アラビア半島の片隅から登場し7世紀から破竹の勢いで領土を拡大したイスラム勢力が征服した中近東地域は、文化的には先進地域で宗教的にはキリスト教が400年以上根付いた地域だった。 イスラム勢力は、軍事的に征服した被支配層をイスラム教に改宗させて支配を安定させる為にキリスト教の教会建築を凌駕する荘厳な宗教建築が必要だった。またイスラム教では人の顔を描くことは偶像崇拝禁止の戒律を犯すことになるので、創造のエネルギーはいきおい緻密な装飾デザインへ向かつた。



M:
旅の移動中はまるで次から次へと目の前を通り過ぎる出来事やものの意味合いや歴史を知りたくなります。教えてもらうと『なるほど...』と思うばかりです。きっとデザインはイスラム教徒の自己表現のようなものだったのでしょうね! 宗教にせよ熱い思いは人を素晴らしい芸術家にしてしまうのでしょうか?



N:
他には織物・陶器・木工などのデザインも同じ理由で緻密で印象的ですが特に目を惹いたのは金銀細工の緻密さとユニークさだ。虫眼鏡で見ねばならないほど細かい装飾は根気を伴う手作業の精華だ。ユニークなデザインで絢爛なネックレスの作り手はベルベル人だ。彼らにとって宝飾品は女系で相続する貴重な動産で、蓄財、呪術による護身、出自を示す紋章という複数の役目を持った。一方緻密な宝飾品はユダヤ人の技だ。ヨーロッパのキリスト教諸国は中世の宗教的熱狂に駆られて多くのユダヤ人を迫害し公職追放や国外追放とした。それと対照的に迫害されたユダヤ人を差別することなく受け容れたのはトルコやモロッコなどのイスラム教国だった。特にモロッコのフェスには対岸のスペインから15世紀末に追放され優秀な銀細工等の技術を持った手工業者が移住した。知り合いのフェスの名士は『ユダヤ人がモロッコの文化のに残した功績は大きい。その豊かさの源の一つだ』と公言する。  ここで判るのは現代人が持ちがちなイメージ『イスラム教徒は他宗教に排他的』が間違っていること。実は元来イスラム国家の中でユダヤ教徒やキリスト教徒は寛容に地位を与えられ、3者は共存して来た。ところが19世紀以降の西欧と東欧でキリスト教徒がユダヤ人を迫害し、迫害されたが」財力を蓄えていたユダヤ人が故郷再建運動と言う形でアラブ人の地に割り込んできたことにある。



M:
ジュエリーといえば紀元前には既に一通りの技術があったと伝えられています。今でも機械化が進む中、特に先進国では人の手も技術も退化しているという事も耳にします。もちろん素晴らしい職人さんもいらっしゃいますが。私にとって印象的だったのはファティマの手といわれる手のひらのモティーフです。初めは何だか恐いような気がしましたが、ジュエリー以外にもシールになって車に貼ってあったりして『ストップ!』という意味かな?なんて思っていましたが、魔除けの意味だそうですね!私も何か創ってみたいな!